いつまでもこんな事に時間を費やす事など馬鹿らしくて遣っていられなかった。


私の知っている技術はこの世界のものとは異なっている。


私の盗まれた資料は私がオーブに移住して、代表・・ウズミらによって取り込んだものだ。


移住後、間も無くウズミらに外交代表として単独に動く事を許された。


それはオーブだけでなくザフトや連合でも同じだった。


ザフトは私をコーディネイターだと思い込み、誰も疑わなかった。


連合は私を無碍に出来ず、そしてとある盟主に気に入られたためさほど難しい事ではなかった。


私の事を知っているにせよ、知らないにせよ。


私を疑う者は誰一人としていなかった。


いや・・・・、一人を除いては――――――――。
























安らぎ


















作業が終了すると、出来るだけ早くパトリックの元に持っていった。


内容は連合に奪われたものとは差ほど変らないものだったが。


パトリックは受け取ると、眉を寄せながら中身を確認する。


それに疑いもせず、パトリックはそれを受領した。


だが、私は言われたとおりではないが、技術提供をしたのに彼女を還してはくれなかった。


まだ、彼は私に何かさせるつもりらしい。


私は彼の要領の悪さに呆れ果てる。


私を敵に回すつもりか――――――ザラ委員長閣下?


私は誰も居なくなると、笑いが止まらなくなりそうだった。








よく言うだろ?

欲張りすぎると自滅すると。






























「久しぶりですわね、


「そうね・・ラクスは変わりない?」





はい、と笑顔を見せ返事をする彼女・・・ラクス・クライン。


私のプラント唯一の友達だ。


最近、連合に捕虜にされるという事態になっていたというのに。


なんでもないような顔をしている。


ラクスの心の強さにはいつもながら敬服する。





「大丈夫ですの?とてもお疲れのようですが・・・・」





そう、ラクスに言われて・・・初めて気付いた。


プラントに来て休息を取った記憶がない。


居る筈もない彼女に会って、焦っていたのだろうか?


これではエザリア氏も心配されるはずだ。


はあ、と一息ついてからラクスに声をかける。





「よく分かったね・・」


「あら、の事なら私、なんでも分かりますのよ」


「・・・ありがと」


「いいえ、は私の大切な親友ですから、少しでもの負担を軽くしたいのですわ」





私に笑顔を向けそう語る彼女の気遣いに本当に感謝した。


私は昔から頼る事の出来る者などいなかった。


私はそれが出来る立場でもなかったし、家の外に出る機会もそうそうなかったので同年代の友達さえもいなかった。


本当の歳で言うと、ラクスも当て嵌まらないのだが、今でも私にこう接してくれる者の存在は貴重だった。


特にジュールの親子は私に頼って欲しいみたいだったけど、そうする事は出来なかった。


私の心がそれを許さなかったのだ。


環境が変れば、私自身も変ると思っていたのに。


これは逃げ出した罰なのだろうか?


―――だが、今更戻る事も叶わなかった。





























、くれぐれもお気をつけ下さいね」


「ありがとう」






日が暮れる頃、私はジュール家に戻るためクライン邸を後にする事にした。


ラクスは泊まっていって欲しいと言ってくれたが、お世話になるわけにもいかなかった。


ラクスには次の機会にでもと言っておいた。


次があるかは分からないが・・・・・。




























    遥かなる風の声   生まれ来る小さな種は


    まだ蒼い羽広げ   大空へ舞い上がり


    虹を越え      雲を越え


    地図なき      ともしびの旅


    風を知り      雨を知る


    翼が汚れても    ここからただ飛びたい


    だから全ての鼓動よ


    抱きしめた思いを解き放つ世界へ











































<あとがき>
久しぶりの更新となりましたこの連載。
続編も始まり熱も戻ってきました。
早く種編を完結させ、Dへ進みたいです。
その為、以前の駄文はその内、改正しますのでお許しを。

今回はラクスとの友情夢を目指してみました。
ヒロインの心情をたくさん盛り込んだ話となりました。

感想・御意見等お待ちしています。

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