「マスター」
「久しぶり・・」
パトリックに私とを別室に移してもらった。
今日はもう帰っていいとの事だ。
―――だが、を連れて帰る事は出来ない。
私は自分の無力さを嘆いた。
マスター
「いつから・・此処に?」
「マスターが此処にくる少し前」
「そう・・。
、”マスター”だなんて呼び方やめましょう?」
「ですが、様は私の”マスター”なのです」
「・・そう。でも、私を死んでも守ろうなんて考えないで」
はその言葉に答える事が出来なかった。
私がマスターを守るのは当然のこと。
逃れられない宿命。
でも・・私はそれだけの事で様を守りたいのではないのです。
彼女はに覚られぬよう、微笑んだ。
あの後、パトリック直属の部下が面会の終わりを告げた。
私の”仕事”が終わるまでを返すつもりはないらしい。
まあ、あの者達がをどうにかしような到底無理な話だ。
仕方ない、今 ココに居られなくなっても不味い。
最初に裏切ったのはオーブなのだから。
どんな理由があろうとも、それは変らない。
私のアレを盗んだ事には変わりない。
何処も同じという訳か・・地球・プラント・そして・・中立国オーブ。
オーブの領主は出来た人間かと思っていたが見込み違いだったか。
それにしてもこの生活はいつまで続くのか。
確かにエザリア・ジュールには良くしてもらっているが、
私が此処にいつまでもいたら迷惑を掛けるのではないか・・。
彼女にとって私は息子の恋人。
婚約発表を以前からしたいとおっしゃっていたから、もう家族同然なのだろうか。
よく得体の知れぬ者を自分の息子の婚約者などにできるな。
・・私のチカラがコーディネーターより上なのだから仕方ないか。
だから、皆 私の事をコーディネーターだと信じて疑わない。
疑う要素がないのだろう。
「!!」
エザリアが扉を物凄い勢いで開けてきた。
珍しい。彼女が家に帰ってくるなんて。
私が驚いているとエザリアは続けた。
「ラクス嬢が無事帰還しましたよ。
外傷も何もないそうですし、落ち着いたら会ってきたらどう?」
エザリアがどこまで知っているかは分からないが、
最近、私がザラ国防委員長閣下に提供しているモノについては知っているらしい。
彼女はその事で私を心配してくれた。
本意かはわからないが嬉しい反面申し訳ない気もしていた。
「ありがとうございます」
は真意を覚られないよう微笑んだ。
私はココには誰も味方がいないと思っていた
だから、私を心配してくれていた人達を悲しませてしまった
本当にごめんなさい
<あとがき>
についてはもう少し先に謎解決しよかと・・。
ある作品をお知りの方はわかるかと思いますが。
次回、ラクスとの再会
*柚姫宛専用掲示板*(夢専用)