は今、L5に浮かぶ中立国オーブの資源衛星ヘリオポリスに来ていた。
それも極内密に・・・。
(もう、私が表舞台に立ってもどうしようもないのに・・何故諦めきれないのかしらね―――)
は自分の遣る瀬無さを悔やみながらとある施設に向かって歩いていた。
1動き出す瞬間
しばらくしては内部へと赴き、秘密裏に建造されていた連合初のMS”G”を眺めていた。
(こんなものを造って連合はなにを考えているのでしょう・・
更なる悲劇にも繋がる事も知らずに――――)
その場所に似合わない綺麗で非機能的な服装。結びもせず、背中に流した長い髪。
日焼けなども無縁そうなほど白い。なにより華奢で、“守られている側”の人間の代表のような少女。
人はみな保護欲をそそられるようだ・・・。だが、この少女の服装に該当するものは1人しか居ないはずだ。
そう、彼女は何処の軍にも属していない。それどころか、連合の者でもない。
何故そんな者が此処にいるかというと、連合の上役に頼まれ視察のため。
だがそもそもこの視察には大した意味はない。その者の個人的なものであった。
マリュー・ラミアス大西洋連邦所属大尉は、不思議な気持ちで隣にいる少女を見ていた。
彼女は何も知らされていない。この意味を・・・。
「・・様、この度はこの様な所まご足労いただきありがとうございます。
どうでしょうか?出来のほどは?」
はラミアスの言葉を聞き、冷淡に述べた。
「そうですわね、良い出来だとは思いますが・・」
(人の設計したものをよくもまあ、躊躇無く使用できますわね・・・・)
「が??」
「・・・・私に構わなくとも良いのですよ、ラミアス大尉?」
マリューはその言葉に唖然とした。
ラミアスは上からこの少女ののことを任されているからだ。
「・・お言葉ですが、私は様の元にいるように仰せつかっております。」
ラミアスの言葉を聞き、は哀しそうな顔をした。
「大変ですわね。お忙しいでしょうに・・」
(これから本当に大変でしょうに―――――――)
「では、もうそろそろ失礼しますわ。」
指して意味の無い矢継ぎ早な会話終了という合図。少女は無駄のない動きで身体の向きを回転させた。
あれほど食い入るように見つめていた機体を、すでに興味をなくしたかのごとくあっさりと振り切って。
「あ、ではお見送りを・・・」
「少し、道草をしようと思ってますので結構です。ありがとうございます。」
引き止める自分を、嫌味でなく笑顔で静止して、彼女と彼はスタスタと行ってしまう。
自分達の思いと逆に、感慨も名残もなくあっさりと。
「 」
呟かれた言葉も、耳には入らなかった。
不思議なほど、存在感は残ったのだけれど―――――
はあれから施設を後にし、呟いた。
「やはりダメですね・・・私は
もう遅いというのに
分かち合えない地球人に
いったい何が出来るというのでしょう」
そう、彼女は何も出来ない。
出来るとしたら見守ることだけ――――――
<あとがき>
訂正しました。
あまり内容は変っていないのですがね。
この頃、夢を書いていないので忘れ気味・・。
少々、修正したい所ができましたので宜しければお付き合い下さい。
*柚姫宛専用掲示板*(感想等用)