act.03 願いの行方
「は進水式まで好きにしていたら良い。レイにでも案内して貰いなさい」
「はい、分かりましたわ。お兄様」
「くくっ、やはり照れるな・・・」
「そう?私はそうでもないけど?」
本部施設のある部屋で兄弟ごっこをしている者が二人。
が業務用の言葉に切り替え、接する様子を間近で見ていたギルバートは何とも言えない心境だった。
今に至るまで彼女が何をしていたかがギルバートは少しだけ分かった。
別室に通され、と業務的な会話にとうとう耐え切れなくなり、ギルバートは本音を漏らした。
はそれにくすくすと音を立てて笑い、軽く言葉を交わす。
”私には兄弟もいなかったからこうして話すような事はなかったからとっても楽しいよ”
そして、もギルバートには本音か分からないような口調でそう言葉をギルバートにやっと聞こえる大きさで呟いて、部屋から出て行った。
「レイー!!」
進水式を目前として賑わう基地内にレイと呼ばれた金髪の美少年に抱きつく少女の姿があった。
突然抱きつかれたというのにレイは少女をしっかりと抱きとめている。
「レイ、お久し振りですわ。何かお変わりはありませんか?」
「いや・・・。それよりも、どうして此処へ?」
周りにいた彼の同僚達はそんな二人の様子に驚いて作業の手を止めている。
軍内でも人気のあるレイに彼女がいるなんて効いた事はないし、彼とこうも容易く接している少女がいたことにも驚いた。
そしてなによりもあのレイが少女に微笑み掛けていることだ。
二人を見ているほど、疑問は増えていくばかりだが、誰もあの雰囲気に入っていけるものが居ないらしい。
だが、最初こそ驚いていたもの、二人の様子を面白そうな目で見ていた一人の少女が意を意を決して彼らに近づいて行った。
「ちょっと、レイ!!・・その娘とどういう関係なの?」
「よせ、ルナマリア」
レイを小突きながらルナマリアと呼ばれた少女は実に興味深そうにレイだけに聞こえる大きさで問いかけた。
は楽しそうな二人の様子にくすくすと笑いを漏らした。
それに気づいたルナマリアはそれをやめて、目の前で笑っている少女に向き直る。
遠目でも分かっていた事だがルナマリアはこんな美少女を初めて見た。
この少女のような人物を超越した美しさとでもいうのだろうか・・・。
だが、ルナマリアの知る限り、こんな世間知らずそうなお嬢様タイプはレイの好きな部類ではなかったはずだ。
それがどうも腑に落ちなくて、ルナマリアは内心、首を傾げた。
「レイ、この方を私に紹介してはくれませんの?」
「あ、ああ・・。同僚の・・・」
「初めまして!私、ルナマリア・ホークです!!」
「初めまして、ルナマリアさん。私は・デュランダルですわ」
二人の様子を観察していただったが、終わりそうも無い彼らの様子に痺れを切らし、そう尋ねる。
レイはの見慣れない様子に困惑しながらも、同僚を紹介しようとするが、それもルナマリアに遮られてしまう。
いつまでも終わらない楽しそうな二人の様子に呆気ながらも笑みを絶やさず、はルナマリアと握手を交わした。
<あとがき>
短いですか?
どのくらいの文章が皆様には読みやすいのでしょう?
まあ、ここで1度切っておきますね。
やっとレイが出せました。
次は強奪編まで行きます。
シン・アスの登場は戦艦登場後!!
レイも議長もヒロインの聞きなれない言葉遣いに戸惑っています。
姿はまだ違和感があっても言葉使いほどではないらしい。
雰囲気も違いますしね。
まあ、そんな感じで気ままに進めて行きます。