pipi...
静寂に包まれた空間を消し去り、一室の仕官室に通信を知らせるアラームが鳴り響いた。
は簡易ベットで横になっていた重い体を起こして、通信機に手を掛けた。
「・・・はい」
「?具合が悪いの?」
長い呼び出し音の後、画面に少し擦れた声と、
普段とは違い髪を無造作に流したの姿が映し出された。
いつもの雰囲気とは違うにタリアは驚いて、用件とは別のことを口にする。
はとろんとした雰囲気はそのままに答える。
「いえ・・・、大丈夫ですわ・・」
「とても大丈夫には見えないのだけど・・、
まあ いいわ。ブリッジに上がって来れるかしら?」
「それは大丈夫ですが・・・」
タリアはの具合を気にしながらも用件を述べた。
それがタリアの申し出がギルバートによるものだと、言う事だ。
でなければ、公的に民間人であるをブリッジに呼ぶはずもない。
はそれは構わなかったが、タリアの立場を考え言葉を濁した。
タリアはそれに大丈夫よと答え、用件が終わると通信を終了させた。
「何を考えているんだが・・・・あの人は・・」
再び戻った静寂の中、は一人呟いた。
星屑の戦場
「失礼します」
一人のザフト兵に案内され、はブリッジにやってきた。
すると、其処には予想外の人物が二人。
いや、心の何処かではギルバートならと予想は出来ていたはずだ。
そう、は自分に言い聞かせて無心に空いている席に座る。
横目で二年の空白の中成長した二人を観察する。
変わってないというのが、素直な感想だった。
唯、それが今後、どう表れるかは傍観していようとは思った。
だけど、今となっては自分も行動せざる得ない状況なのだが。
「名はその存在を示すものだ……ならばもし、それが偽りだったとしたら?
それはその存在そのものが偽り――という事になるのかな?」
宇宙空間を遠ざかっていくMSを見送りながら、
は隣で交わされる会話を他人事のように聞いていた。
ギルバートはこんな場所で実存主義的な話をしている。
は少しおかしく思いながらも顔は真っ直ぐ前を見据える。
自分には関係ないと油断していたに、
ギルバートの爆弾発言を聞くこととなった。
「アレックス―――いや、アスラン・ザラ君?」
ブリッジにいるほぼ全員がそれに驚かされることとなった。
たが、はその言葉がアスランだけに向けて、
言われているような気にはなれなかった。
戦闘準備に余念のないブリッジに余計なことをしてくれた
ギルバートをは密かに睨んだ。
それに気付いたギルバートは笑みを人知れず、深くした。
そう、ギルバートは最初から気付いていたのだ。
アレックスがアスラン・ザラということに。
だが、にはギルバートの考えが読めない。
アスランだと言うことをばらして、彼に何をさせようというのだ。
にはメリットとなるものが分からず、混乱する。
アスランの横でカガリが腰を浮かせた事に気付いた。
それを制するようにギルバートは穏やかに笑いかけた。
そしていらぬ話を続けるギルバートにはとうとう顔を背けた。
余計な事をしてくれたものだ。―――――と。
真っ直ぐな彼らは真面目に話を聞いていた。
そして、管制官の少女を始めとする者が此方を酷く気にしていた。
戦闘中だというのにいい気なものだ。
は内心、悪態をつき、限りなく広い空間へと視線を向けるのだった。
「この艦には、もうMSはないのか?」
突然、黙って見守っていたギルバートが口を挟んだ。
艦長が振り返って無造作に答える。
「……パイロットがいません」
アスランがビクリと動き、カガリも彼を見やる。
そしてもそれを確認した後、短く溜め息をついた。
(仕方、ない・・か・・・・)
「タリアさん、MSは出せるのですね?」
「え?」
タリアだけでなく、ギルバートをも含めた全員がの方に視線を移した。
きっとこのお嬢様は何をするつもりなんだ?といいたいのだろう。
はこの新人ばかりを思わせるような兵士の様子に呆れ返った。
こんなでいいのだろうか?――――と。
「どうするつもりなの?」
「私がでると言っているのですわ、タリア艦長」
「何を言っているの?、あなたは民間人でしょ?」
「まあ、公にはそうなっていますが・・・・、
軍籍もありますから何も問題ありませんわ」
「「「「「!?」」」」」
タリアとの言葉が交差する。
の爆弾発言に辺りは騒然とする。
ギルバートは苦い顔をしているのは言うまでもない。
「どういうこと?」
「そんな話は後にして、発進許可を下さいませんか?
今はそんなことを話している場合ではないはずですわ」
「でも、・・・あなた・・・」
「少しくらいなら大丈夫ですわ。
心配なさらずに、ね?」
心配そうに言葉をかけるタリアを制す。
のいう通りなのだ。
こんな事に時間を掛けているわけはいかない。
だから、タリアにはそれを承知するしかなかった。
「・・・・わかりました。宜しいですか?議長」
「・・仕方あるまい」
「ありがとうございます。
それでは失礼致しますわ」
タリア了解の指示の後、議長にも了解を仰ぐ。
それも仕方のないことだった。
今はギルバートの義妹と、言う事になっているのだから。
それを確認するとはブリッジを後にする。
そうしてやっと、クルーはもとに戻る事ができた。
タリアは議長を睨み、後できっちり説明していただきますよ。
と一度、視線を向けた。
<あとがき>
大分、間が空いてしまってすみません。
やっとヒロインはMSに乗せる事が出来そうです。
以前のように更新速度は上がらないでしょうが、よろしかったら待ってやってください。
はあ、もうすぐやっとイザークがだせますね。
名前変換小説化していてすみません。
アニメ沿いだと、こんなもんですよ。