「どうしてきたの?・・」
「すみません・・・、非常識なのは重々承知しています。
ですが、この事がもし、戦争の火種となるなら・・・私は見届けねばなりません」
兵士の一人がを連れて、ブリッジにやってくると、タリアはを咎め始めた。
議長の妹とはいえ、彼女が議長について回らなくてもいいのだから。
は少し申し訳なさそうにしていたが、発言する時には真っ直ぐタリアを見据える。
議長はの言葉を聞いて、さらに彼女を一人にして置く事はできないな、と思った。
は一人で何もかも抱え込みすぎなのだ。
責任は全て自分にあるかでも言うかのように―――。
「・・・。タリア、すまないがこの娘の我侭聞いてやって貰えないだろうか?」
「・・・議長。はあ、今更 仕方ないものね・・・。
わかったわ。だけど、・・」
議長の言葉を無下にできるような立場ではないタリアにはそれを承諾するしかなかった。
どうせ、一度乗せてしまったものには違いは無いのだから。
議長からに視線を変え、に向き直った。
勝手なことは許さないわよ。と、言うつもりがそれはに遮られる。
「分かっています。これ以上、お邪魔になるような事は致しませんわ。」
「・・そう。誰か!彼女を案内して!」
そうか。とタリアは確信した。
という娘は全てに置いて、しっかり立場を弁えているのだろう。
を士官室に案内させようとしたタリアの言葉をまた、は必要ない、と口を挟んだ。
「いえ、案内役は要りません。これからMSデッキの方に行きますから」
「!!それは許可できないわ」
行き成りの奇襲で何処も手一杯なのだ。
それをは知っているから、それを簡単に受けることができない。
だから、ドッグの方へ行き、整備班の手伝いを。と申し出た。
だが、の事は機密中の機密。
そう、易々それを承諾する訳にも行かなかった。
「そう・・・、なら本当に行くだけ。ルナマリアさんは戻っていらっしゃるみたいですし」
「貴女、ルナマリアを知って?」
「ええ。レイに紹介して頂きましたの。それでは・・・」
それなら友達に会うだけ。とでも言うかのようには言葉を紡いだ。
タリアはがルナマリアの事を知っていた事に驚愕する。
このミネルバ内で彼女を知る兵士など、レイくらいなものだ。
それが彼女の口から出たのだから、タリアでなくとも誰だって驚く。
はタリアが唖然としているのを知ってか知らずか、彼女の言葉を待たずにブリッジを後にした。
二年越しの再会
「ルナマリアさん!」
「え?・・・さん?!」
「はい。覚えてくださったのですね、ありがとうございます」
行き成り自分の名前を呼ばれ、振り向くと此処にいない筈の人物がいて、
またもや、ルナマリアは驚愕させられた。
そんなルナマリアに気付きもせず、笑顔を向け、話しかける。
ルナマリアははっとして、に疑問を投げかけた。
「さんはどうして此処に?」
「心配でつい、来てしまいましたの。
ご迷惑かとも思ったのですが、本当に自分でも馬鹿な事をしたと、思いますわ」
どうやったら”つい”でこんなところまで来られるのだ。と、
ルナマリアは思ったが今までの彼女の様子から考察すると、それも有り得るかな・・・とも、思った。
「まだ、戦闘は続いているのですね・・・・」
「はい・・・。私も機体の損傷が無ければ出られるのですが・・・」
「・・・そうですか。これが切っ掛けで、また、戦争にでもなってしまったら・・・」
すみません失言でしたわね。ルナマリアさん達の事を責めている訳ではないのです。と、そう続ける。
先ほどまでの幸せそうな笑顔はもう、そこには無く、
辛そうに眉を顰めるその姿にルナマリアは胸を締め付けられるような感覚を感じた。
居ても立っても居られなくて、の言葉を遮ってまで言葉を発した。
「そんな事は絶対ありません!今回の事だって、賊の仕業でしょうし!!」
「・・・そうですわね。戦火にならぬように私達も頑張らねばなりませんね・・・」
「さん・・・」
そこにはもう、何も知らない少女の姿は無く、先ほどまでの認識を撤回せずにはいられなかった。
唯、云々と平和を過ごしてきた様に見えた、彼女の事を――――。
ルナマリアのところでずっとは話し込んでいた。
ルナマリアが見知らぬ少女と話しているのを見つけ、ヨウランやヴィーノ達、整備兵らが寄ってきた。
紅いワンピースを身にまとったは民間人にしか見えない。
そのワンピースの色がルナマリア達が着ている軍服の色に似ていた、としても。
そんな少女が軍艦に乗っている訳、ないのだから。
それにルナマリアは自慢そうに答える。
公式発表を控えた議長の妹で、名前を。と言う事を簡潔に。
それを聞くと周りの者は皆、改まった。
それは仕方のないことだ、とは思ったが、はこういう対応が好きにはなれなかった。
そしてそれから作業を再開していた時だった。
ミネルバ配属ではないMSが一機、艦内に入ってきた。
しかも、驚いた事にそれに乗っていたのは軍人ではなかった。
は以前、見慣れた色彩の服を着た少女と以前とは違い私服に身を包んだ少年の姿を見た。
もちろんその顔も知っている者であった。
は驚きのあまり目を見開いた。
それから数秒で整備班と話し込んでいたルナマリアもそれに気付き、
兵士の銃を奪い取ってそれを民間人、二人に向けたのだった。
「そこの二人!!動くな!」
一方、ブリッジではシンとレイがコロニーから出て宇宙まで敵を追って行った事により、
ミネルバも発進せざる得なくなっていた。
そして議長であるギルバートに下船するようにと、タリアが申し出ていた。
だが、ギルバートは残る、と言う。
それならばの事はどうするのか気になったタリアはギルバートに向かって口を開いた。
「の事はどうするつもりですか?」
「もちろん、連れて行くさ。あの娘は私の言う事など聞かないのでね」
そう、簡単に答えたギルバートの顔には笑みが出ていて、それをタリアは不審そうに見ていた。
突然、かかった声に視線をそちらに向けたアスランは一人の赤服を着た少女の手にある銃を確認すると、
カガリを己の背後に下げて庇った。
その時、全艦放送でミネルバ発進の合図がかかり、誰もが一瞬それに気を取られた。
が、ルナマリアははっと我に返ると、再び銃を構えた。
「動くな!何だ、お前達は?軍の者ではないな。何故その機体に乗っている!?」
「あ・・・。」
「銃を下ろせ。こちらはオーブ連合首長国代表、カガリ・ユラ・アスハ氏だ。
俺は随員のアレックス・ディノだ。」
弁明をしようとしたカガリを制し、アスランはそう言葉を紡ぐ。
アレックス・ディノは、今の彼が公に名乗っている偽名でプラントから亡命するような形を取った彼が、
公に本名を名乗る訳にも行かず、親しい間柄以外では、この名前で生活をしている。
その言葉に、銃を持った少女はきょとんとした表情を浮かべた。
「デュランダル議長との会見中、騒ぎに巻き込まれ、脱出もままならないまま、この機体を借りた。」
「オーブの・・・アスハ・・・・・?」
「代表は怪我もされている。議長はこちらに入られたのだろう?お目にかかりたい。」
アスランの説明にその場にいたミネルバのクルーの誰もが、思いがけない来訪者に呆然としていた。
思いがけない者達の登場で心情を乱していただったが、どうにか平常心を取り戻して彼らを見据えた。
(大人しくしていればいいものを・・・・余計なことを・・・)
雰囲気を変えたに気付いた者は誰も居なかった。
<あとがき>
いつもより長くなってしまいましたので、改行少なめにしてみました。
いつものとどちらが読みやすいでしょうか?
回答お待ちしています。
今回はほんとに付箋話になってしまって申し訳ない。
次はちゃんと絡むと思います。
シンも多分、登場します!
次回はでも旧キャラと絡めたいなとも、思っています。
アンケを見て驚愕しました。
イザークって人気が無かったのですか?!
ショックでたまりません。
日本全国のイザーク好きの皆さん!!イザークの良さを布教しましょう!!
扱っていないキラにも負けた事がショックです。
主人公だし、仕方ないとは思うのですが、以前メインだったイザークが人気が無いのは哀しいです。
私の書く、イザークが駄目なのでしょうか?
皆さん、コメントプリーズ!!
とりあえず、レイがキラを抜いてくれてほっとしているのは内緒ですよ。
だって、この連載では絡みそうもないんですもん!
それに裏事情から少し難しいんですよね。
(現在、入手した情報も含めて)
なら、反転でなんか言うななんて言わないでくださいね?
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