思い出
今日、はジュール家に来ていた。
数日前、イザークとは婚約をしたばかりである。
一見政略結婚としか見えないのだが、この婚約はイザーク自身が望んだことらしい。
今までジュール家の者達はイザークに尽く婚約話を破談させられてきてので、
今回のことを物凄く喜んだらしい。
しかも、は云わずと知れた家のお嬢様でもありその辺でも問題は起きなかった。
一方、イザークは反対されるの覚悟で母親・・エザリアに話したのだが
あっさりと承諾されてしまったため調子抜けしてしまった。
それはがコーディネイターではないためである。
まあ、ナチュラルでもないのだが・・・。
実際、にはコーディネイターにも負けないほどの能力があることも明らかになっている。
それに容姿も物凄く整っている。
だが、今イザークにとって予想もしないことが起きてしまっていた。
それはイザークの母エザリアが途轍もなくのことを気に入ってしまったことである。
「いらしゃい、ちゃん。」
「こんにちは、エザリア様。
この度はご招待いただきありがとうございます。」
「まぁ、そんな他人行儀にしなくていいのよ。
むしろすぐにでもお嫁に来てもらいたいくらいなんだから。」
「ありがとうございます。
ですが、ジュール家に私のようなものがそうそう出歩いて良いものとは思いませんので。
御気持ちだけ頂きますわ。」
「でも、一人暮らしも大変でしょう。
結婚はまだ先にしても一緒に暮らしたほうが何かといいでしょう?」
「本当に・・・」
が来てからというものずっとこんな感じだ。
実にコレが永遠と続くのだからイザークは面白くない。
ちなみにイザーク自らを迎えにいき戻ってきたのだが、自分の息子になど眼もくれず
将来 義娘になるであろうに纏わりついている。
余程が気に入ったのか、それとも娘が欲しかったのか・・。
どちらにしてもをずっと取られているのは全く面白くない。
イザークの額にはもう既に血管が浮き出ている。
いつも我慢できなくなったイザークは強制的に自室にを連れて行くのである。
そして今日もそれを実行するらしい。
「!!・・行くぞ!!」
「えっ。あっ、エザリア様、失礼致しますわ。」
イザークはを連れて、リビングを出て、一気に階段を駆け上り、自室へと向かう。
はでそれに抵抗せずについていく。
むしろ”くすっ”とでも笑いが漏れそうだった。
一方、ジュール家の者はホッとしている者や笑みを浮かべるもの(漏らす者)さまざまである。
エザリアはというと自分の息子の反応を楽しんでいるのであった。
「、無理して母上に合わせる必要ないんだぞ。」
「いいえ、大丈夫ですわ。イザーク様。」
はイザークの言葉に笑みを浮かべ答えた。
一方でイザークはの口調に眉を顰めた。
「、もう敬語は止めろ。
というか、母上の前でも止めていいんだぞ。」
はイザークの言葉に一層笑みを強める。
「ありがとう、イザーク。
でも、まだ失礼じゃない?」
「母上も言っていただろう。早く嫁ぐようにと。
変に遠慮はいらない。」
「でも・・」
「はぁ、お前がまだ無理ならいいんだ。ゆっくりでな。
だが、母上の相手をしていて俺をほっとかないでくれ」
の表情は一転した。
困った顔から目を見開いて、そして最後に笑みを漏らした。
それを見たイザークは真っ赤になって
「わ、笑うな!!」
と怒声を上げた。
「ごめんね、イザーク。
まさかそんなこと言ってくれるとは思わなくて・・」
イザークはそんな日々が続くと信じていた
だがその後、イザークの想いに反して、は姿を消した。
<あとがき>
ジュール親子大好きです。
この2人良いと思うのですが、果たしてイザークの母親の名前を皆様が知っているか気になります。
いつもより長めに書けたと思えて満足してます。
それでは、御意見、感想お待ちしています。